毒物及び劇物取締法
- 第一条
この法律は、毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的とする。 - 第三条 毒物又は劇物の製造業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売又は授与の目的で製造してはならない。2 毒物又は劇物の輸入業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売又は授与の目的で輸入してはならない。3 毒物又は劇物の販売業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。但し、毒物又は劇物の製造業者又は輸入業者が、その製造し、又は輸入した毒物又は劇物を、他の毒物又は劇物の製造業者、輸入業者又は販売業者(以下「毒物劇物営業者」という。)に販売し、授与し、又はこれらの目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列するときは、この限りでない。
- 第三条の二
毒物若しくは劇物の製造業者又は学術研究のため特定毒物を製造し、若しくは使用することができる者としてその主たる研究所の所在地の都道府県知事(その主たる研究所の所在地が、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の区域にある場合においては、指定都市の長。第六条の二及び第十条第二項において同じ。)の許可を受けた者(以下「特定毒物研究者」という。)でなければ、特定毒物を製造してはならない。2 毒物若しくは劇物の輸入業者又は特定毒物研究者でなければ、特定毒物を輸入してはならない。3 特定毒物研究者又は特定毒物を使用することができる者として品目ごとに政令で指定する者(以下「特定毒物使用者」という。)でなければ、特定毒物を使用してはならない。ただし、毒物又は劇物の製造業者が毒物又は劇物の製造のために特定毒物を使用するときは、この限りでない。4 特定毒物研究者は、特定毒物を学術研究以外の用途に供してはならない。5 特定毒物使用者は、特定毒物を品目ごとに政令で定める用途以外の用途に供してはならない。6 毒物劇物営業者、特定毒物研究者又は特定毒物使用者でなければ、特定毒物を譲り渡し、又は譲り受けてはならない。7 前項に規定する者は、同項に規定する者以外の者に特定毒物を譲り渡し、又は同項に規定する者以外の者から特定毒物を譲り受けてはならない。8 毒物劇物営業者又は特定毒物研究者は、特定毒物使用者に対し、その者が使用することができる特定毒物以外の特定毒物を譲り渡してはならない。9 毒物劇物営業者又は特定毒物研究者は、保健衛生上の危害を防止するため政令で特定毒物について品質、着色又は表示の基準が定められたときは、当該特定毒物については、その基準に適合するものでなければ、これを特定毒物使用者に譲り渡してはならない。10 毒物劇物営業者、特定毒物研究者又は特定毒物使用者でなければ、特定毒物を所持してはならない。11 特定毒物使用者は、その使用することができる特定毒物以外の特定毒物を譲り受け、又は所持してはならない。 - 第三条の三
興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する毒物又は劇物(これらを含有する物を含む。)であつて政令で定めるもの[1]トルエン、酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料 … Continue readingは、みだりに摂取し、若しくは吸入し、又はこれらの目的で所持してはならない。 - 第三条の四 引火性、発火性又は爆発性のある毒物又は劇物であつて政令で定めるものは、業務その他正当な理由による場合を除いては、所持してはならない。
- 第四条 毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録は、製造所、営業所又は店舗ごとに、その製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事(販売業にあつてはその店舗の所在地が、地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項の政令で定める市(以下「保健所を設置する市」という。)又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。次項、第五条、第七条第三項、第十条第一項及び第十九条第一項から第三項までにおいて同じ。)が行う。2 毒物又は劇物の製造業、輸入業又は販売業の登録を受けようとする者は、製造業者にあつては製造所、輸入業者にあつては営業所、販売業者にあつては店舗ごとに、その製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事に申請書を出さなければならない。3 製造業又は輸入業の登録は、五年ごとに、販売業の登録は、六年ごとに、更新を受けなければ、その効力を失う。
- 第四条の四
毒物又は劇物の製造所の設備の基準は、次のとおりとする。一 毒物又は劇物の製造作業を行なう場所は、次に定めるところに適合するものであること。イ コンクリート、板張り又はこれに準ずる構造とする等その外に毒物又は劇物が飛散し、漏れ、しみ出若しくは流れ出、又は地下にしみ込むおそれのない構造であること。ロ 毒物又は劇物を含有する粉じん、蒸気又は廃水の処理に要する設備又は器具を備えていること。二 毒物又は劇物の貯蔵設備は、次に定めるところに適合するものであること。イ 毒物又は劇物とその他の物とを区分して貯蔵できるものであること。ロ 毒物又は劇物を貯蔵するタンク、ドラムかん、その他の容器は、毒物又は劇物が飛散し、漏れ、又はしみ出るおそれのないものであること。ハ 貯水池その他容器を用いないで毒物又は劇物を貯蔵する設備は、毒物又は劇物が飛散し、地下にしみ込み、又は流れ出るおそれがないものであること。ニ 毒物又は劇物を貯蔵する場所にかぎをかける設備があること。ただし、その場所が性質上かぎをかけることができないものであるときは、この限りでない。ホ 毒物又は劇物を貯蔵する場所が性質上かぎをかけることができないものであるときは、その周囲に、堅固なさくが設けてあること。三 毒物又は劇物を陳列する場所にかぎをかける設備があること。四 毒物又は劇物の運搬用具は、毒物又は劇物が飛散し、漏れ、又はしみ出るおそれがないものであること。2 毒物又は劇物の輸入業の営業所及び販売業の店舗の設備の基準については、前項第二号から第四号までの規定を準用する - 第七条 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を直接に取り扱う製造所、営業所又は店舗ごとに、専任の毒物劇物取扱責任者を置き、毒物又は劇物による保健衛生上の危害の防止に当たらせなければならない。ただし、自ら毒物劇物取扱責任者として毒物又は劇物による保健衛生上の危害の防止に当たる製造所、営業所又は店舗については、この限りでない。2 毒物劇物営業者が毒物若しくは劇物の製造業、輸入業若しくは販売業のうち二以上を併せて営む場合において、その製造所、営業所若しくは店舗が互いに隣接しているとき、又は同一店舗において毒物若しくは劇物の販売業を二以上併せて営む場合には、毒物劇物取扱責任者は、前項の規定にかかわらず、これらの施設を通じて一人で足りる。3 毒物劇物営業者は、毒物劇物取扱責任者を置いたときは、三十日以内に、その製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事にその毒物劇物取扱責任者の氏名を届け出なければならない。毒物劇物取扱責任者を変更したときも、同様とする。
- 第八条第二項
次に掲げる者は、前条の毒物劇物取扱責任者となることができない。一 十八歳未満の者二 心身の障害により毒物劇物取扱責任者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの三 麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者四 毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していない者 - 第十条
毒物劇物営業者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、三十日以内に、その製造所、営業所又は店舗の所在地の都道府県知事にその旨を届け出なければならない。一 氏名又は住所(法人にあつては、その名称又は主たる事務所の所在地)を変更したとき。二 毒物又は劇物を製造し、貯蔵し、又は運搬する設備の重要な部分を変更したとき。三 その他厚生労働省令で定める事項を変更したとき。四 当該製造所、営業所又は店舗における営業を廃止したとき。 第十二条第一項
毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物の容器及び被包に、「医薬用外」の文字及び毒物については赤地に白色をもつて「毒物」の文字、劇物については白地に赤色をもつて「劇物」の文字を表示しなければならない。- 第十二条三項
毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物を貯蔵し、又は陳列する場所に、「医薬用外」の文字及び毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。 - 第十四条第一項
毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を他の毒物劇物営業者に販売し、又は授与したときは、その都度、次に掲げる事項を書面に記載しておかなければならない。一 毒物又は劇物の名称及び数量二 販売又は授与の年月日三 譲受人の氏名、職業及び住所(法人にあつては、その名称及び主たる事務所の所在地) - 第十七条 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物若しくは劇物又は第十一条第二項の政令で定める物が飛散し、漏れ、流れ出し、染み出し、又は地下に染み込んだ場合において、不特定又は多数の者について保健衛生上の危害が生ずるおそれがあるときは、直ちに、その旨を保健所、警察署又は消防機関に届け出るとともに、保健衛生上の危害を防止するために必要な応急の措置を講じなければならない。2 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失したときは、直ちに、その旨を警察署に届け出なければならない。
毒物及び劇物取締法施行令
- 第四十条の九
毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を販売し、又は授与するときは、その販売し、又は授与する時までに、譲受人に対し、当該毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報を提供しなければならない。ただし、当該毒物劇物営業者により、当該譲受人に対し、既に当該毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報の提供が行われている場合その他厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。
2 毒物劇物営業者は、前項の規定により提供した毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報の内容に変更を行う必要が生じたときは、速やかに、当該譲受人に対し、変更後の当該毒物又は劇物の性状及び取扱いに関する情報を提供するよう努めなければならない。
3 前二項の規定は、特定毒物研究者が製造した特定毒物を譲り渡す場合について準用する。
4 前三項に定めるもののほか、毒物劇物営業者又は特定毒物研究者による毒物又は劇物の譲受人に対する情報の提供に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
- 第四十条の五
四アルキル鉛を含有する製剤を鉄道によつて運搬する場合には、有がい貨車を用いなければならない。
2 別表第二[2] … Continue readingに掲げる毒物又は劇物を車両を使用して一回につき五千キログラム以上運搬する場合には、その運搬方法は、次の各号に定める基準に適合するものでなければならない。
一 厚生労働省令で定める時間[3] … Continue readingを超えて運搬する場合には、車両一台について運転者のほか交替して運転する者を同乗させること。
二 車両には、厚生労働省令で定める[4]30cm平方の板に黒地に白文字で「毒」と表示し、車両の前後の見やすい箇所に掲げることところにより標識を掲げること。
三 車両には、防毒マスク、ゴム手袋その他事故の際に応急の措置を講ずるために必要な保護具で厚生労働省令で定めるものを二人分以上備えること。
四 車両には、運搬する毒物又は劇物の名称、成分及びその含量並びに事故の際に講じなければならない応急の措置の内容を記載した書面を備えること。
毒物及び劇物取締法施行規則
- 第十三条の十 令第四十条の九第一項ただし書に規定する厚生労働省令で定める場合は、次のとおりとする。
一 一回につき二百ミリグラム以下の劇物を販売し、又は授与する場合
二 令別表第一の上欄に掲げる物を主として生活の用に供する一般消費者に対して販売し、又は授与する場合 - 第十三条の十一 令第四十条の九第一項及び第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定による情報の提供は、次の各号のいずれかに該当する方法により、邦文で行わなければならない。一 文書の交付二 磁気ディスクの交付その他の方法であつて、当該方法により情報を提供することについて譲受人が承諾したもの
- 第十三条の十二 令第四十条の九第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により提供しなければならない情報の内容は、次のとおりとする。一 情報を提供する毒物劇物営業者の氏名及び住所(法人にあつては、その名称及び主たる事務所の所在地)二 毒物又は劇物の別三 名称並びに成分及びその含量四 応急措置五 火災時の措置六 漏出時の措置七 取扱い及び保管上の注意八 暴露の防止及び保護のための措置九 物理的及び化学的性質十 安定性及び反応性十一 毒性に関する情報十二 廃棄上の注意十三 輸送上の注意
References
↑1 | トルエン、酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料 (ただし、これらは劇物を含有するが、「劇物」ではない) |
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↑2 | 別表第二(第四十二条関係) 一 黄燐 二 四アルキル鉛を含有する製剤 三 無機シアン化合物たる毒物及びこれを含有する製剤で液体状のもの 四 弗化水素及びこれを含有する製剤 五 アクリルニトリル 六 アクロレイン 七 アンモニア及びこれを含有する製剤(アンモニア十パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの 八 塩化水素及びこれを含有する製剤(塩化水素十パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの 九 塩素 十 過酸化水素及びこれを含有する製剤(過酸化水素六パーセント以下を含有するものを除く。) 十一 クロルスルホン酸 十二 クロルピクリン 十三 クロルメチル 十四 硅弗化水素酸 十五 ジメチル硫酸 十六 臭素 十七 硝酸及びこれを含有する製剤(硝酸十パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの 十八 水酸化カリウム及びこれを含有する製剤(水酸化カリウム五パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの 十九 水酸化ナトリウム及びこれを含有する製剤(水酸化ナトリウム五パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの 二十 ニトロベンゼン 二十一 発煙硫酸 二十二 ホルムアルデヒド及びこれを含有する製剤(ホルムアルデヒド一パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの 二十三 硫酸及びこれを含有する製剤(硫酸十パーセント以下を含有するものを除く。)で液体状のもの |
↑3 | 運搬の経路、交通事情、自然条件等から判断して、1人の運転者が連続して運転する時間を4時間を超える場合、又は、1人の運転者の1日当たりの運転時間を9時間を超える場合とする。 |
↑4 | 30cm平方の板に黒地に白文字で「毒」と表示し、車両の前後の見やすい箇所に掲げること |
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